胆沢城散歩―築地塀編―
2025-05-18
夏の近づきを感じる今日この頃。当センターや胆沢城跡歴史公園にも見学や散策を楽しむ多くの方がみえています。そこで「胆沢城散歩」と題して、国指定史跡胆沢城跡のメジャーなところからディープなところまで、いろいろと歩いてみようと思います。今回は「築地塀(ついじべい)」にスポットライトを当ててみます。
古代城柵といえば、何よりも施設を囲む巨大な塀が特徴です。胆沢城の場合、土を固めてつくった築地塀で囲まれていました。はじめに胆沢城跡歴史公園の復元築地塀でその大きさを体感しましょう。発掘調査の成果から、幅は2.4mあったことが確認されており、高さは土の部分で4.2m、屋根までいれて5.4mはあったのではないかと推測されています。

歴史公園の復元築地塀
築地塀のイメージがついたところで、いよいよ四周をめぐってみます。胆沢城の築地塀は1辺約675m、総延長2.7kmもありました(ホームページ「展示・施設紹介」の「鎮守府胆沢城」にマップがあります)。お客様から、「胆沢城の四周全部歩いたらどれくらいでしょうか?」と聞かれることも少なくありませんが、この機会に試してみましょう。
築地塀めぐりの目当てとなるのは地元の生活道路です。胆沢城跡では築地そのものは残っていませんが、築地のあったところは後世には道路として利用されました。基礎がしっかり固められていたからでしょう。また、道路の北東・北西・南東・南西隅には遺跡を示す標柱も立っています。
それではスタートです。まずは歴史公園の復元築地塀に沿って真西に進みましょう。やがて東北本線の線路とぶつかる場所に胆沢城南西隅のコーナーがあるので、そこから直角に方向転換、北へ向かいます。すると、県道270号線(西根佐倉河線)を挟んで鎮守府八幡宮の赤鳥居が見えてきます。赤鳥居をくぐり、北西隅のコーナーまでひたすら直進です。

南西隅コーナー、後ろに線路があります

鎮守府八幡宮の赤鳥居、周りには石碑がたくさん
北西隅のコーナーについたら、今度は東進。ある程度歩くと案内板があります。そこから南の方を向いてもらうと、遠くのほうに小さく歴史公園の復元築地塀がみえるはずです。ここは胆沢城の南北中軸線上で、古代には外郭北門が建っていました。もう少し進むと胆沢城の鬼門を守る鎮守府八幡宮、そして北東隅のコーナーがあります。

北西隅コーナー

この辺りに外郭北門が建っていました

鎮守府八幡宮
北東隅のコーナーからの道路は築地跡からやや外れます。この辺りの水田を潤し、古代からも重要な水路として使われていたであろう九蔵川を越えると、再び築地跡の上を歩くルートへ戻ります。南東隅のコーナーへついたらゴールはもうすぐ。歴史公園の復元築地塀を目指してひと踏ん張りしましょう。

北東隅コーナー、ここから道路は築地跡から外れます

城内を流れる九蔵川、ここを越えると道路は再び築地跡に戻ります

最後の南東隅コーナー

ようやくゴール、復元築地塀を東から眺めます
ということで、ようやく胆沢城跡の四周を歩き終えました。かかった時間は40分ちょっと。平坦ではありますが、なかなかの道のりでした。胆沢城の巨大さを身に染みて感じたところです。皆さんも、虫や動物、交通安全や熱中症には気を付けながら、散策にチャレンジしてみてください。
(文:専門学芸員 大堀秀人)

北東隅コーナーの先で見かけた立派な藤の木、思わぬ発見があるものです
